はじめての海外文学

頭がふっとぶほどおもしろい海外文学のお話や、イベント、本屋さんのお話など本にまつわることを中心に書いていきます

これぞ正統派じじい小説! カルミネ・アバーテ『ふたつの海のあいだで』

初心者おすすめ度★★★★ カルミネ・アバーテのことは前作『風の丘』で知りました。そのときからすごく気になっていて、読みたかったのだけどなかなか手に取ることができず、この『ふたつの海のあいだで』が出ると聞いたときには絶対に読もうと思っていました。…

『天使の恥部』プイグの描く母性

あーあ、早くも2月が終わろうとしてますね。 2月は毎年寒さで震えている以外はとくに何もすることがない月ですが、一日だけ例外の日があります。 なんとわたしの誕生日があります。 まぁこの年になって誕生日がうれしいとかないですけど、、、、、ってたぶん…

『はじめての海外文学』読んでみた

えー、みなさま 明けましておめでとうございます。 遅いわっっていうつっこみあまんじてお受けいたしますごめんなさい。 まだまだ月一更新がせいいっぱいのブログですが、今年もどうぞゆるりとよろしくお願いいたします。 さて、年もあけてなんとなく一段落…

イベント『はじめての海外文学スペシャル』参加!

遅ればせながら、先日(ってもう半月たっちゃうのか、、、)青山ウィメンズプラザで開催された『はじめての海外文学スペシャル』というイベントに参加してきました。 techizen.cocolog-nifty.com ご存知ない方のために一応ご説明すると、現在全国の書店にて…

まもなく!!『はじめての海外文学フェアVol.2』全国の書店で開催!!12月11日にはイベントも!

はじめての海外文学フェアVol.2いよいよはじまります。イベントも決定!

『ハロルド・フライを待ちながら〜クウィーニー・ヘネシーの愛の歌』で知るハロルド・フライの本当の物語

bookclub.kodansha.co.jp 初心者おすすめ度★★★★★ ページを閉じた瞬間、流れ込んでくる感情が止まらなくて、 もう思うさま泣いてしまいました。 こんなに完璧なラストは信じられない。 そう思ってしまうほど、美しいお終いでした。 前作、『ハロルド・フライ…

『書店主フィクリーのものがたり』じんわり堪能する孤島の本屋さん

www.hayakawa-online.co.jp 初心者おすすめ度 ★★★★ 島暮らしって憧れます。 特にトーベ・ヤンソンの『島暮らしの記録』を読んだあとは、あの孤高の生活。すぐそこにある荒々しい海。人をよせつけない自然の厳しさの中に落ちている、しんじがたいほど美しい瞬…

『服従』人間の幸福とは……

www.kawade.co.jp初心者おすすめ度 ★★ とっつきにくい。独自の美学がある。恥ずかしがることを恥ずかしく思い強くでてみせてすぐ誤解される。さらに寂しがりやでもあるためにすぐすねる。つまりちょうぜつめんどくさい。でもつきあってみると情に厚い。とい…

本屋大賞2016!そして本屋大賞翻訳小説部門『紙の動物園』

本屋大賞2016、発表になりましたね(いつの話だよ)。 すみません、春が来たなぁうらうらとぼんやりしてたら一か月すぎてました。 “本屋大賞“ と言って思い出すのは、実は亡き父の記憶。 何を隠そうわたし“本屋大賞“ というものの存在を最初に父に教えてもら…

『10代のためのYAブックガイド150!』フェアに行ってきました。

小さなこどもがいると出かけるのもなかなかどうして、ままならないわけでして。 その子が腹の中でぐにょぐにょのたうちまわっていた昨年からおもしろそうなイベントやフェア、本屋さん訪問など涙をのんで見送ってきたわけです。 でも丸善丸の内本店さんで『1…

はじめての海外文学必読書!『翻訳百景』のすすめ

さっそくですが、本当はもう少し落ち着いてからにしようと思っていたブログリニューアルをどうしても今やらねば、そしてこれを紹介せねば!と思わせられた1冊をまずはご紹介したいと思います。 『翻訳百景』 越前敏弥 角川新書 初心者おすすめ度 ★★★★★ (っ…

ブログ、リニューアルいたします

『はじめての海外文学』 すみませんいきなり、タイトルからこれに変えさせていただきます。 もう最初からこうすればよかったんだけれども・・・。 ちょっとこのタイトルは大げさかなぁというのと、そういうものに限らず面白かった本はすべて紹介するというも…

チェルノブイリ原発事故より30年、いつになったらこの祈りは届くのか『チェルノブイリの祈りー未来の物語』

すっかりご無沙汰しております。 ちょっと子どもを産んでおりました。 産む前は、産後しばらくは書けないだろうけど、まぁ3ヶ月もすれば少しずつは復活できるかなぁ、、、なんて甘い考えでいたのですが、、、、うん無理。 今もまだまだ文章を書く余裕はほん…

数学少女??に疑問あり!だけどつい好きになっちゃう『国を救った数学少女』ヨナス・ヨナソン

『国を救った数学少女』ヨナス・ヨナソン 西村書店http://www.nishimurashoten.co.jp/pub/details/403_724.html前作『窓から逃げた100歳老人』の大ヒットが記憶に新しい、スウェーデンのルーキー、ヨナス・ヨナソン氏の新作が早くも翻訳されるとのことで、そ…

『歩道橋の魔術師』呉明益

歩道橋の魔術師 - 白水社 誰にでもひとつやふたつ、思い出すだけでたちどころに色やにおいや、湿度まで立ち上がってくるような、深く心に根付いている場所ってあると思う。 それは、生まれた家かもしれないし、小学校の校庭かもしれない。おばあちゃんの家か…

戦後70年の夏、今読みたいこの一冊『世界の果てのこどもたち』中脇初枝

戦後70年という節目の夏。 新聞各紙も連日それぞれコラムを書いているし、街の書店でも特設コーナーが設置されているところも多いですね。 さらに、安倍政権の安保法案が成立されるんじゃないかということで、各地でデモや議論が巻き起こっているので、今、…

『忘れられた巨人』カズオ・イシグロ

<a href="http://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000012686/" data-mce-href="http://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000012686/">忘れられた巨人 | 種類,単行本 | ハヤカワ・オンライン</a>www.hayakawa-online.co.jp 今のところ、今年1番の話題作なのではないでしょうか。 『日の名残り』や『わたしを離さないで』の著者、カズオ・イシグロの10年ぶりの新作長編。 わたし、実はカズオ・イシ…

傑作!『黒が丘の上で』ブルース・チャトウィン

黒ヶ丘の上で:みすず書房www.msz.co.jp ブルース・チャトウィンについて知っていることと言ったら、『パタゴニア』や『ソングライン』などの有名な紀行文学の著者。イギリス人。といったことくらいかも。てへ。 イギリス文学も紀行文学も好きなのでいつかは…

『裏面 ある幻想的な物語』アルフレート・クビーン 挿絵の魔力

白水社 : 書籍詳細|U198 裏面 ある幻想的な物語[白水Uブックス] じめじめと雨が降り続いている、まさに梅雨という天気だけど、そんな天気にうってつけの幻想小説を読んだ。 久しぶりにこれぞ幻想という雰囲気の一冊。 著者、アルフレート・クビーンはチェ…

『ジャングル・ブック』トークイベント参加 赤羽「青猫書房」にて

6月の最終土曜日、つまりそれは昨日のはなしですけれども。 赤羽にある児童書専門書店「青猫書房」さんにてキプリングの 『ジャングル・ブック』トークイベントがあるとのことで行ってきた。 ところでちょっと本題に入る前に寄り道。私事ですが妊婦のため、…

『ストーナー』ジョン・ウィリアムズとイベント「ことばの魔術師 翻訳家 東江一紀の世界」

6月13日(土)つまりそれは昨日のはなしですけれども。 楽しみにしていたイベントにいってきた。 半年以上前から、翻訳家、東江一紀(あがりえ かずき)さんの門下生さんたちと、同じく翻訳家の越前敏弥さんが丹念に準備していた「ことばの魔術師 翻訳家 …

『ジャングル・ブック』ラドヤード・キプリング

ジャングル・ブック ラドヤード・キプリング著 三辺律子訳 岩波書店 なつかしい、、、、 そう思う方も多いのではないか。先日、児童文学の名作、キプリングの『ジャングル・ブック』がなんと60年ぶりの新訳で岩波書店から発売された。 わたしは残念ながら…

『その女アレックス』ピエール・ルメートル

&lt;a href="http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167901967" data-mce-href="http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167901967"&gt;文春文庫『その女アレックス』ピエール・ルメートル 橘明美訳 | 文庫 - 文藝春秋BOOKS&lt;/a&gt; 何度もやってて、…

『火星の人』アンディ・ウィアー

いやー笑ったなぁ〜! 最高でした。 火星へのミッション中突然の嵐に遭い、ふきとばされてしまう主人公マーク。他のクルーはやむなく任務を引き上げて地球へ帰還してしまう。 でも、奇跡的にマークは生きていて!残された基地と食料、さまざまなサプライで生…

『氷』アンナ・カヴァン

すごいすごいとは聞いていたのだけど、本当にすごかった。 カヴァンの『氷』。 これは何なのだ。 全編通して、途切れることのない不穏さ。 主人公がいったい何者なのかも、まったくわからない。ただただひとりの少女を追い続ける。偏執的といえば偏執的だけ…

『雪を待つ』ラシャムジャ

人生初のチベット文学でした。 はじめて読んだのがこの本で、すごくよかったと思う。 すごく素直な本だったから。 初めて手にとったとき、素晴らしい装丁だなぁと思った。 そして『雪を待つ』というタイトル。「ある雪の日、ぼくは文字と出会った」という帯…

『流』東山彰良

5月に入って、一日中家にいる日が増えた。 だから、この機会に奥行きがあって使いづらかったうちの本棚を改造しようと、木材とネジなどを買ってきて、奥にもう一つ棚をつけてやろうなどと画策し、奮闘してみたり(ちなみに泣けるエピソードがいろいろあって…

新世紀歴史本!『エウロペアナ 二十世紀史概説』

こんな風変わりな本は、今まで読んだことがない。 胸をはってそう言えるほど、いっぷう変わった小説です。 第1回日本翻訳大賞『カステラ』に続いてもう1点の受賞作がこちら。チェコの作家が書いたヨーロッパ思想史 『エウロペアナ 二十世紀史概説』パトリク…

『ペナンブラ氏の24時間書店』ロビン・スローン

さて、本屋大賞第3位は『窓から逃げた100歳老人』とあと2冊ありました。 そのうちの1冊がこちら 『ペナンブラ氏の24時間書店』ロビン・スローン著 東京創元社 これ実は新刊で入荷して、店頭に並べたときから気になっていたんですよね。 まぁなんせ本屋で働…

第1回日本翻訳大賞受賞『カステラ』

日本翻訳大賞なるものが、今年から始まりました。 翻訳家の西崎憲さんを中心に、クラウドファンディング(ってやつ??)で資金を集め、先日喜ばしいことに無事第一回受賞作が発表されました。 栄えある第一回受賞作はなんと2作品。 『カステラ』パク・ミン…