はじめての海外文学

頭がふっとぶほどおもしろい海外文学のお話や、イベント、本屋さんのお話など本にまつわることを中心に書いていきます

海外文学

これぞ正統派じじい小説! カルミネ・アバーテ『ふたつの海のあいだで』

初心者おすすめ度★★★★ カルミネ・アバーテのことは前作『風の丘』で知りました。そのときからすごく気になっていて、読みたかったのだけどなかなか手に取ることができず、この『ふたつの海のあいだで』が出ると聞いたときには絶対に読もうと思っていました。…

イベント『はじめての海外文学スペシャル』参加!

遅ればせながら、先日(ってもう半月たっちゃうのか、、、)青山ウィメンズプラザで開催された『はじめての海外文学スペシャル』というイベントに参加してきました。 techizen.cocolog-nifty.com ご存知ない方のために一応ご説明すると、現在全国の書店にて…

まもなく!!『はじめての海外文学フェアVol.2』全国の書店で開催!!12月11日にはイベントも!

はじめての海外文学フェアVol.2いよいよはじまります。イベントも決定!

『ハロルド・フライを待ちながら〜クウィーニー・ヘネシーの愛の歌』で知るハロルド・フライの本当の物語

bookclub.kodansha.co.jp 初心者おすすめ度★★★★★ ページを閉じた瞬間、流れ込んでくる感情が止まらなくて、 もう思うさま泣いてしまいました。 こんなに完璧なラストは信じられない。 そう思ってしまうほど、美しいお終いでした。 前作、『ハロルド・フライ…

『書店主フィクリーのものがたり』じんわり堪能する孤島の本屋さん

www.hayakawa-online.co.jp 初心者おすすめ度 ★★★★ 島暮らしって憧れます。 特にトーベ・ヤンソンの『島暮らしの記録』を読んだあとは、あの孤高の生活。すぐそこにある荒々しい海。人をよせつけない自然の厳しさの中に落ちている、しんじがたいほど美しい瞬…

『服従』人間の幸福とは……

www.kawade.co.jp初心者おすすめ度 ★★ とっつきにくい。独自の美学がある。恥ずかしがることを恥ずかしく思い強くでてみせてすぐ誤解される。さらに寂しがりやでもあるためにすぐすねる。つまりちょうぜつめんどくさい。でもつきあってみると情に厚い。とい…

本屋大賞2016!そして本屋大賞翻訳小説部門『紙の動物園』

本屋大賞2016、発表になりましたね(いつの話だよ)。 すみません、春が来たなぁうらうらとぼんやりしてたら一か月すぎてました。 “本屋大賞“ と言って思い出すのは、実は亡き父の記憶。 何を隠そうわたし“本屋大賞“ というものの存在を最初に父に教えてもら…

はじめての海外文学必読書!『翻訳百景』のすすめ

さっそくですが、本当はもう少し落ち着いてからにしようと思っていたブログリニューアルをどうしても今やらねば、そしてこれを紹介せねば!と思わせられた1冊をまずはご紹介したいと思います。 『翻訳百景』 越前敏弥 角川新書 初心者おすすめ度 ★★★★★ (っ…

『歩道橋の魔術師』呉明益

歩道橋の魔術師 - 白水社 誰にでもひとつやふたつ、思い出すだけでたちどころに色やにおいや、湿度まで立ち上がってくるような、深く心に根付いている場所ってあると思う。 それは、生まれた家かもしれないし、小学校の校庭かもしれない。おばあちゃんの家か…

『忘れられた巨人』カズオ・イシグロ

<a href="http://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000012686/" data-mce-href="http://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000012686/">忘れられた巨人 | 種類,単行本 | ハヤカワ・オンライン</a>www.hayakawa-online.co.jp 今のところ、今年1番の話題作なのではないでしょうか。 『日の名残り』や『わたしを離さないで』の著者、カズオ・イシグロの10年ぶりの新作長編。 わたし、実はカズオ・イシ…

『その女アレックス』ピエール・ルメートル

&lt;a href="http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167901967" data-mce-href="http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167901967"&gt;文春文庫『その女アレックス』ピエール・ルメートル 橘明美訳 | 文庫 - 文藝春秋BOOKS&lt;/a&gt; 何度もやってて、…

『火星の人』アンディ・ウィアー

いやー笑ったなぁ〜! 最高でした。 火星へのミッション中突然の嵐に遭い、ふきとばされてしまう主人公マーク。他のクルーはやむなく任務を引き上げて地球へ帰還してしまう。 でも、奇跡的にマークは生きていて!残された基地と食料、さまざまなサプライで生…

『氷』アンナ・カヴァン

すごいすごいとは聞いていたのだけど、本当にすごかった。 カヴァンの『氷』。 これは何なのだ。 全編通して、途切れることのない不穏さ。 主人公がいったい何者なのかも、まったくわからない。ただただひとりの少女を追い続ける。偏執的といえば偏執的だけ…

『雪を待つ』ラシャムジャ

人生初のチベット文学でした。 はじめて読んだのがこの本で、すごくよかったと思う。 すごく素直な本だったから。 初めて手にとったとき、素晴らしい装丁だなぁと思った。 そして『雪を待つ』というタイトル。「ある雪の日、ぼくは文字と出会った」という帯…

新世紀歴史本!『エウロペアナ 二十世紀史概説』

こんな風変わりな本は、今まで読んだことがない。 胸をはってそう言えるほど、いっぷう変わった小説です。 第1回日本翻訳大賞『カステラ』に続いてもう1点の受賞作がこちら。チェコの作家が書いたヨーロッパ思想史 『エウロペアナ 二十世紀史概説』パトリク…

『ペナンブラ氏の24時間書店』ロビン・スローン

さて、本屋大賞第3位は『窓から逃げた100歳老人』とあと2冊ありました。 そのうちの1冊がこちら 『ペナンブラ氏の24時間書店』ロビン・スローン著 東京創元社 これ実は新刊で入荷して、店頭に並べたときから気になっていたんですよね。 まぁなんせ本屋で働…

第1回日本翻訳大賞受賞『カステラ』

日本翻訳大賞なるものが、今年から始まりました。 翻訳家の西崎憲さんを中心に、クラウドファンディング(ってやつ??)で資金を集め、先日喜ばしいことに無事第一回受賞作が発表されました。 栄えある第一回受賞作はなんと2作品。 『カステラ』パク・ミン…

『窓から逃げた100歳老人』

本屋大賞翻訳部門 第3位 医学・芸術書・絵本を出版する西村書店:一般書 | その他 etc.| 窓から逃げた100歳老人 わたしが働いていた書店では、間違いなく昨年一番売れた翻訳小説です。(単行本で) なんだかおもしろいタイトルの本だなーと思っていたら、あれよ…

ツイン・ピークスの再来!『ハリー・クバート事件』

本屋大賞翻訳部門第3位までを読んでみよう!企画。 最初の一冊は第2位のこちら ハリー・クバート事件〈上〉 - ジョエル・ディケール/橘明美 訳|東京創元社 上下巻 なんで第2位からなのかというと、答えはかんたん。。すでに読んでいたから!!しかも、わた…

2015年本屋大賞 翻訳部門

2015年本屋大賞はめでたく、上橋菜穂子さん『鹿の王』に決定しました。 今回3度目の参加となった本屋大賞ですが、残念ながら妊娠によるホルモンバランスの崩れのせいで、(このホルモンのやつがくせものでして、、、ニンゲンなんてこの微量の分泌物ひとつで簡…