はじめての海外文学

頭がふっとぶほどおもしろい海外文学のお話や、イベント、本屋さんのお話など本にまつわることを中心に書いていきます

『窓から逃げた100歳老人』

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本屋大賞翻訳部門 第3位
 
わたしが働いていた書店では、間違いなく昨年一番売れた翻訳小説です。(単行本で)
なんだかおもしろいタイトルの本だなーと思っていたら、あれよあれよという間に売れてしまい、大急ぎで追加。終いには追加が追いつかず、ワゴンにドカ積みしておりました。
 
ようやく読めて、まーびっくり。思っていたよりずっとぶっ飛んでる!
ていうか、とんでもないジジイだ!!
ページをめくるたび、何度震えたでしょうか。笑いをこらえるために……
タイトルからもわかるように、100歳の誕生日をむかえたアランじいさんは、誕生パーティーなんてまっぴらと、老人ホームの窓から逃げ出しちゃいます。
それから行き当たりばったりの逃走劇がはじまるのだけど、盗みあり、偽装あり、殺しあり、ウォッカあり、ゾウ(⁉︎)あり、、、ていうかなんでもあり!
でなんだかんだでだんだん味方も増やして、うまいことまるめていってしまうのだ。
 
なんでそんなむちゃくちゃなことができてしまう人物なのかという疑問を、納得させちゃうのが、途中ではさみこまれるアランの若い頃の物語。
まー若いころから行き当たりばったりなんだけど、なぜだか毛沢東やらチャーチルやらトルーマンやらものすごい人たちに気に入られ、歴史を変えるような決定も実はアランが関わっていた…みたいなことになってる。
途中何度も、ありえん!ってつっこみたくもなるんだけど、結局はじーさんがウォッカ数杯で丸め込んでくるので、こちらも、なんだよまあいいよ、、、ってことになっちゃうのでした。
 
いやわたしもほんとにてきとうな人間なので、なるようになる!というアランの人生訓はほんとにうなずけるし、ウォッカがあればあとはまあよし!という信念(?)も、ビールと音楽があればまあよし!と考えてる自分には本当にぴったりくるわけで、、、
あーわたしこのじーさんといいお友達になれそう。
 
ただちょっとラストは、おいおいもうそんなもん作りなさんな。。後はビーチでずっとウォッカ呑んでりゃいいじゃないの、、、と戒めたくなってしまいましたが、、、。
全体的には細かいところは気にするな!笑って楽しんだらよし!という感じが非常に気に入りました。
 
さてアランじいさんはいったいいくつまで生きたのかしら、、、あのまま生きてたらまたもう一騒動やらかしそうであります。想像するだけでも楽しい。
 
なんだか最近おもしろくないなぁ、とか、いったいなんのために生きてるんだろ、、、とか思っている方、ぜひこれ読んで!!参考にはならないけど、とにかくいっとき忘れられます。そして、力が抜けちゃうから、後でゆっくり考えればいいじゃんと思えれば、いいんじゃないかと。まずはまあ一杯って感じなのです。
 
近々、ヨナス・ヨナソンさんの(この名前本名でしょうか??野比のび太みたいですごく好き。。)次作が訳されて発売されるようなので、また楽しみにしたいと思います。