はじめての海外文学

頭がふっとぶほどおもしろい海外文学のお話や、イベント、本屋さんのお話など本にまつわることを中心に書いていきます

『火星の人』アンディ・ウィアー

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いやー笑ったなぁ〜!
最高でした。
 
火星へのミッション中突然の嵐に遭い、ふきとばされてしまう主人公マーク。他のクルーはやむなく任務を引き上げて地球へ帰還してしまう。
でも、奇跡的にマークは生きていて!残された基地と食料、さまざまなサプライで生きのびることができるのか!?っていうお話。
 
SFといえど実際におこりうる話のようで、設定がまずおもしろい。
とにかく彼は火星でひとりぼっちで奮闘するんだけど、その過程を日記のような形でログにのこしている。物語はそのログと実は彼が生きていたとわかってからの地球(NASA)
の様子を交互に展開することで成り立っていく。NASAの部分はもちろん物語上必要な部分なのだけど、マークのログの部分の方が圧倒的におもしろい。最初にほんとにびっくりしたのが、いやいやあんた火星に一人ぼっちなんだぜ!とつっこみたくなるほどの、マーク・ワトニーのカルさ。。
もちろん、必至で生き延びる努力はしているし、植物学者でエンジニアというだけあって、火星でのジャガイモ栽培もやってのけるし、各機材の修理や改造もお手の物。ときどきは死にかけてくそったれ!と叫ぶときもある。でも、うじうじ悩んだりは一切しないし、いつでも前向き。そしてヒマさえあればだーれもいないのにとんでもないジョークをとばしつつ、70年代のテレビドラマを見たりしている。なんだか楽しそうなのである。
 
でも後半、生き延びるか否かという展開になってくるとやはりせっぱつまった描写が多くなる。こちらもハラハラするし、スピード感が増してきてこれでもかというほどスリル満点になってくる。手に汗にぎる展開なのである。これはさすがに彼も余裕なし、、、と思いきや、やっぱり最後までジョークは忘れないのである。あっぱれ。
 
こんなにユーモアあふれるSF小説なんて、今まであったのだろうか。
いや、わたしSF全然読んでいないので、まったく詳しくないのだけど、少なくともわたしははじめて読みました。そして、こんなのならもっと読みたい!そう思わせてくれた。好きですよこういうの。
 
アンディ・ウィアーさんはなんとこれが処女作とのこと。ブログにあげていたこの作品が話題になって、電子書籍になり、それも売れに売れて書籍化されたのだそう。これは話題になるだろうし、売れるよなー!と本屋大賞第3位も納得の1冊でした。次の1冊も楽しみだ!