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はじめての海外文学

頭がふっとぶほどおもしろい海外文学のお話や、イベント、本屋さんのお話など本にまつわることを中心に書いていきます

数学少女??に疑問あり!だけどつい好きになっちゃう『国を救った数学少女』ヨナス・ヨナソン

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『国を救った数学少女』ヨナス・ヨナソン 西村書店http://www.nishimurashoten.co.jp/pub/details/403_724.html

前作『窓から逃げた100歳老人』の大ヒットが記憶に新しい、スウェーデンのルーキー、ヨナス・ヨナソン氏の新作が早くも翻訳されるとのことで、そりゃあもう読まないわけにいかないでしょう!

今度の主人公は老人じゃなく、少女。それも"数学少女"というなんだか心ときめくワード。
普段はじいさん派のわたしですが、十分わくわくしましたよ。しましたけれども………!

単刀直入に申しまして、その部分はちょっとだけ期待ハズレ。数学少女と言うわりには、理路整然と問題を解決していくような場面は少なく、あまり計算されておらず、むしろ運だけで乗り切っていくようなところがあり、え、え、えーーー???となりました。ちょっぴり。

だけど、それを除けば前作同様、相変わらずのハチャメチャっぷりは健在で、『〜100歳老人〜』を読んだ方はわかると思うけど、まあほんとに次から次へとよくもそんなこと思いつくもんだ……という展開で、ジェットコースターのよう。舞台も南アフリカからスウェーデンと全く違う場所に移り、今回もムチャクチャに動かされる世界の実在する要人たち(胡錦濤なんかもでてくる)。なんたって1番すごいのはいち少女が一国を滅せるほどの核爆弾を家の倉庫に隠すという展開。唖然でしょう。

でもこれが、ヨナソン氏の作品の魅力。
それこそありえない展開は小説の世界にはあふれてるけど、誰も思いつかない展開っていうのはなかなかお目にかかれない。そういうのをいとも簡単に次から次へと出してくるのがこの著者の特技??じゃないでしょうか。
そして、もうひとつ忘れちゃならないのが脇役の存在。今作は前作にも増して、脇役が非常に魅力的。
南アフリカで掃除婦をやっていたときに出会う中国の三姉妹は、度胸があるってもんじゃないくらいぶっ飛んでるし、スウェーデンで出会う双子の兄弟の兄の方とガールフレンド。こいつらがまたほんとにバカなの。最終的にはおバカとしか呼ばれなくなるこのふたりだけど、最後のガールフレンドの奇行は、痛快すぎて本当に爆笑。つっこみどころ満載なんだよ、ほんとにもう。

というわけで、結局またヨナソン氏の奇術にまきこまれ、読み終わるころには船酔いのようなクラクラ感で酩酊状態だったのでした。

ちょっとスカッとしたい…とか、ここんことろ楽しいことないなーーってひと、これを読まない手はないでしょう。必ずやあなたを、ぐるんぐるん振り回して、前後不覚にし、日常のメンドクサイことが一瞬にしてどうでもよくなるような、そんな読後をもたらしてくれます(ほめてる)。お試しあれ!