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はじめての海外文学

頭がふっとぶほどおもしろい海外文学のお話や、イベント、本屋さんのお話など本にまつわることを中心に書いていきます

本屋大賞2016!そして本屋大賞翻訳小説部門『紙の動物園』

2016年本屋大賞翻訳小説部門 アメリカ文学 初心者おすすめ度★★★★ SF 海外文学 海外文学苦手な方にオススメ! 文学賞 幻想文学
本屋大賞2016、発表になりましたね(いつの話だよ)。
すみません、春が来たなぁうらうらとぼんやりしてたら一か月すぎてました。

本屋大賞“ と言って思い出すのは、実は亡き父の記憶。
 
何を隠そうわたし“本屋大賞“ というものの存在を最初に父に教えてもらったんです。
あれは記念すべき第一回目の本屋大賞。みなさんご存知小川洋子さんの『博士の愛した数式』が第一位でした。
その本が父の本棚にそっと置いてあり、普段ビジネス書や時代物しか読まないのにめずらしいなと不思議に思って、どうしたのと聞いたのでした。
そしたら、少し得意そうに本屋大賞っていう賞があってな……と。
普段から流行り物なんて……という顔をしているくせにけっこう新しいものが好きだった父。おもしろかったから読んでみろとその本を貸してくれたのでした。
読んでみると本当にすごく面白くて、すぐに小川洋子さんの他の著書を探したことを覚えています。父も同じだったようです。
今では簡単には会えない場所にいってしまった父ですが、一時でも本屋大賞を選ぶ側になっていたわたしを見て、なんて言ったかなと毎年この時期になると想像してしまいます。
 
そうそう、それで何が言いたいのかというと、本屋大賞ってそういう賞ですよねってこと。今まで読んだことない著者の本、自分では選ばないであろうジャンルなんかの、実は面白い本に出会えるのがこの賞です。さらに普段は本屋にすら行かない人たちの足も向けちゃうのがこの賞のすごいところなんだよな。お祭り気分で軽く手に取ってみたらいいんじゃないかと思います。
 
さてさて、前置きが長くなってしまいましたが、その本屋大賞に翻訳小説部門があるのはご存知でしょうか。
ご存知ないという方、大丈夫!わたしのまわりの本屋、出版関係以外の人たちみんな知りません。そんな方にこそこのブログを読んでいただきたいと思っております。
 
まだまだ知る人ぞ知る賞である本屋大賞翻訳小説部門
わたしは海外文学を読みなれていない方にオススメしてもいいんじゃないかなぁと感じています。そしてこちらもあまり身構えず軽い気持ちで手に取ってもいいんじゃないかなぁと。
 
もちろん、この賞は本屋大賞と同じように書店員の票の数で決まるので、必ずしもすべて初心者むけであるとは言えないのですが、それでもやっぱりたくさんの人たちから支持されたということは、それだけ読みやすくて面白いという要素も上がるのではないかと思うのです。
 
実際昨年、本屋大賞翻訳部門の第3位までを読んでみたのですが、どれも本当に面白く、一気に読みたくなってしまうくらい魅力的だったというのもありますね。
 
さて気になる今年は何が受賞したのかというと
f:id:onakaitaichan:20160526221511j:image
 
1位 『書店主フィクリーのものがたり』
2位『紙の動物園』
      『国を救った数学少女』
3位『服従』
      『歩道橋の魔術師』
 
となっております。(『歩道橋の魔術師』は妹に貸し出していて写真を撮れず……すみません、妹め。。)
 
昨年の読書体験がとても楽しかったこともあり、今年もぜひまた読んでみたいと思っていました……が、実はこのうちの3冊がすでに既読でありました!(でかしたわたし)
 
『歩道橋の魔術師』(初心者向け度★★★★★)は自分的昨年のベスト。3位に入って本当にうれしいです。詳しくはこちらに感想を書いていますのでよかったら読んでみてください。

onaka.hateblo.jp

 
『国を救った数学少女』(初心者向け度★★★★)もこちらに感想を書いています。

onaka.hateblo.jp

ノンベコちゃんの勇ましい姿が記憶に新しくて、大変勢いのあるエンターテイメント性の強い物語でした。
 
感想を書いてはいないのですが、実は読んでいるのが『紙の動物園』(初心者向け度★★★★)。

www.hayakawa-online.co.jp

今回はこの本について少し書こうかなと。
 
なんと至上初、ヒューゴー賞ネビュラ賞世界幻想文学大賞の3冠に輝いたというものすごい経歴をもつ作品です(各賞についてめちゃめちゃざっくり説明すると、ぜんぶSFファンタジーのすごい賞です。文学賞なんてこのくらい知ってればいいような気がするんですがさらに知りたい方はこちらへ
 
正直に言うと、わたしはそこまでグッとこなかったので感想文は書かなかったのですが(完全に好みの問題!)、でもこれを傑作だと言う人が多いのは本当に納得できる、非常によくできた短編集でした。
 
まず誰がなんといっても表題作でしょう。中国人の母親が作る折り紙の動物たち。不思議なことにお母さんが作ると動物たちは生き生きと動き出して、そんな動物たちと一緒に遊ぶのが何より楽しかったのに、成長するにつれて中国人の母親がいるという自身のアイデンティティがうとましくなっくる。中国語しか喋らない母をつい邪険に扱ってしまうようになって、、、
異文化の中で生きることの難しさ、そんな難しさをやすやすと超えていく母の深い愛に胸を打たれずにはいられない豊かな一編でした。
 
印象的だったのは「もののあはれ」「結縄」「円弧」「波」などプロットはSFでも、人生の機微や失われていくものへの哀愁など、普遍的な題材を扱ったもの。死や不老不死といった人類にとっての永遠のテーマとも言えるものを、設定は奇抜だけれど、淡々とただそこにあったからとでもいうように語っているものが多く、多くの人が引き込まれる所以ではないかと思います。
 
著者は中国で子供時代を過ごし、それからアメリカに渡った移民。その経歴を存分に生かした独特の雰囲気を持った短篇集だと思います。
 日本でもたくさんの方が評価している作品ですので、一読の価値はあり。それぞれ違った趣のある15編なので、好みにあったものがきっとあるかもしれません。ぜひぜひお試しを。
 
さて、第3位『服従』と第1位の『書店主フィクリーの物語』はまた読んでからレポートしたいと思います。
なんだかまぁ大変のんびりしていてごめんなさい。他にもご紹介したい本がまだまだあるのでなるべく急いでいきたいと思います……が、最近むすめが好奇心のかたまりでますます目が離せなくなってしまって……おまけに捨てられていた子猫ちゃんまでお迎えしてしまったものだから、母ちゃんはおおわらわです。
ぼつぼつゆっくり行きたいと思います。
 
 追記;その子猫ちゃん、まずはノミ、ダニを駆除しなければならず、好奇心いっぱいで何にでもむしゃぶりついてしまう我が家の8か月のむすめと、どうやって隔離しておくか頭がいたい毎日です。。とほほ。